新築一戸建ての工程を徹底解説!流れを見守るのは施主の大切な仕事
一戸建てを新築する作業は想像以上の大仕事!
延べ数百人もの人々が関わるとも言われ、彼らの汗と“愛”が結集した「作品」ともいえるものなのです。
いずれも専門性の高い工程ばかりなので施主が実際に関与する場面はほんのわずかですが、それでも任せきりにはできません!
せめて新築工程の流れくらいは理解し、「今、どの段階にあるのか」をしっかり把握しておきましょう。
家を新築する。
その具体的な工程自体は建築のプロフェッショナルにお任せする形になりますが、「任せておけばどうにかなるだろう」という他人事なスタンスでは理想の家は建ちません。
現場を受け持つ人たちと共に良い作品を作り上げよう!・・・と、そんな一体感を持つことがとても大切なのです。
一体感を持つとは言っても、私のように建築の知識ゼロの人間がハウスメーカーの営業さんと対等な立場で話をするのは難しいでしょう。
ですが、大事なのは「学ぼう」「理解しよう」という気持ちを持つこと、そしてその積極的な姿勢を見せることです。
建築関係の仕事をしている友人曰く、「知識がなくても一生懸命勉強しようとする施主さんは、一緒に家づくりをしていても楽しいし、いい家を作ってあげたい!って気持ちになる」とのこと。
そういう施主さんに出会えるのが、この仕事の醍醐味だと言うのです。
マイホームの建築を検討しているのであれば、まずは新築の工程くらいはしっかり勉強しておきましょうね!
工期は数か月、述べ数百人がたずさわる住宅建築は非常に複雑なもの。
それぞれのプロフェッショナルが手分けして、各部位を仕上げていきます。
呼び方は工務店などによってそれぞれ違いますが、工程をざっくりとまとめると次のようになります。
①地盤調査
家を建てても大丈夫な地盤なのか、検査する必要があります。
②地盤改良
①の結果、地盤に問題があれば地盤改良を施します。
③地業
貫や杭で構造物の目安をつけます。
その後、15〜16㎝に割ってある石を敷いて地盤を固め(割栗地業)、コンクリートを流して水平面を作ります。(これを「捨てコン」と呼びます)
④基礎工事
家の土台を作る工程です。
べた基礎か布基礎かによって方法は異なりますが、「足元固め」という意味では大きく一つにまとめられます。
最近主流のべた基礎では、配筋した後にコンクリートを流し込みます。
その後、コンクリートの空気を抜く作業をして、基礎は完成!
※ちなみに、ユニバーサルホームのようにちょっと違った基礎を採用しているメーカーもあります。ご参考までに!
⇒ SRC基礎を使うユニバーサルホームの特殊な基礎
⑤上棟
土台工事→1階工事→2階工事・・・と徐々に家が出来上がっていきます。
ここまで終わると、建物の形状がだいたいわかってくる!
いよいよマイホームがカタチになってきた!という実感がじわじわくる瞬間ですね。
⑥屋根工事
下地になる構造用合板を施工し、周囲の壁と固定。
その後、上に防水処理を施し、雨漏り対策をします。
最後に、屋根材を施工して完成。
⑦外壁工事
屋根と同様、防水処理から始めます。(外壁下地に防水シートを張る)
その後、外壁材(サイディングなど)を施工。
ここまで終わると、「あ〜、家が出来てきたっ」という実感が沸くはず!
⑧断熱工事
外気の影響を受けにくくするために、壁や床下に断熱材を施します。(断熱材の種類によってその方法は異なります)
断熱材についてはこちらの記事でも解説していますので、併せてチェックしてみてくださいね!
⇒ 断熱と内断熱、価格的にはどちらが安いの?
⑨設備工事
家の外側=「箱」ができたら、今度はそこで生活できるように環境を整えていく工程に入ります。
水回りの設備を設置したり、窓ガラスを取り付けたり。
いよいよ新築完成もカウントダウン!
⑩建物完成!社内検査へ
外装、内装、設備の工程が全て完了したら、各所に問題がないかどうか検査する工程に入ります。
それで問題がなければ、晴れて完成!施主さんへの引き渡しとなります。
・・・どうでしょうか?
家を新築するとは具体的にどういうことなのか、どんな流れで進んでいくのかイメージはふくらみましたでしょうか。
こういった家づくりの工程を丁寧に解説してくれているサイトは非常に多いのですが、例えば大阪の富士ホームさんのサイトは写真付きで完結にまとめられていてわかりやすいですよ!
⇒ http://2246.jp/flow/index.html
ちなみに、玄関ポーチや庭などの「外構工事」は建物が完成した段階(⑨と⑩の間)に行うケースが多いようです。
(予算の都合で「エクステリアは家が完成してから別の業者に依頼する」という方も多くケースバイケースといったところ。なので、ここではあえて外構の工程を含めませんでした。)
これらの工程を日付ごとに割り振りした表を「工程表」と呼びます。
施主にとって、それぞれの工事日程が把握できれば引っ越しや新聞、Webなどの手続きもスムーズに運ぶでしょう。
そして、工程表には施主が積極的に参加すべき工程も記入されています。
さて、施主が参加すべきなのは、どの工程?
「やおろずの神」という言葉があるように、日本では私たちの身の回りのありとあらゆるところに神様が宿っていると考えられています。
土にも神様がいて、勝手に掘ったりいじったりすると祟りがあるかも・・・ということで、家を新築する際には神様のお許しを得るための儀式を行う風習があるんです。
それが、「地鎮祭」。
「おおお〜っ」という威勢の良い掛け声でおなじみの儀式ですが、あれは神様を呼び出しているんですよ。
その土地の神様に対して、「これからここに家を新築させていただきます。どうか、その工程を完成まで見守っていてください」とお願いする意味があります。
土をいじる前=基礎を作る前に執り行うのが一般的で、神社の神主さんを呼んで祈願していただく形になるため神社との打ち合わせなども必要。
そこはハウスメーカーが中心になって段取りしてくれるはずですが、家づくりの全工程を無事に終えるための大事なファーストステップですから、その流れをしっかり確認しておきましょう。
まずは、事前に決めておくこと、用意するべきものをチェック!
⇒ せっかくの新築一戸建て、けじめの一つとして地鎮祭はやるべきなの?!
【神社やハウスメーカーとの打ち合わせ】
- 日取り(大安、先勝、友引が多い)
- 参加者の人数
- 神主の送迎について
- 神社への謝礼(初穂料)
【施主が用意すべきもの】
お供えもの
- 米 一合(洗っておくこと!量は地方によっても異なりますのでメーカーさんや神社に確認しましょう。)
- 塩 一合
- 水 一合
- 清酒 一合
- 海の幸3種(鯛、するめ、昆布など)
- 畑のもの3種(根菜類)
- 季節の果物
- 人数分の紙コップ
- 神社への初穂料(3万円〜)
直会の飲食物
祭事が終わった後にその場で軽い宴会(お供えしたものをいただく)のようなものをする場合は、飲み物やおつまみも用意する必要があります。(出席する人数にもよりますが、予算はだいたい2〜3万円)
【地鎮祭の流れ】(トータルで約30分)
- ① 水で心身を清める
- ② 祭壇に神様を迎える
- ③ 神様にお供え物を食べていただく
- ④ その土地に家を新築することを(神様に)報告し、工程の安全を祈願する
- ⑤ 土地の四隅をお祓いして清める
- ⑥ 施主は鍬、建設メーカーは鋤、設計者は鎌を使って、土地を鎮める
- ⑦ 玉串をお供えして参拝する
- ⑧ 神様を見送る
- ⑨ 工事の無事を祈願して乾杯し、お神酒をいただく
「なんだかよくわからないし、面倒くさそうだな」
と思われるかもしれませんが、基本的にはハウスメーカーや工務店が段取りをしてくれるはずなので、それにしたがって準備すればOK!
最近では施主の希望でおこなわないことも多いですが、昔から続く神事ですので、検討はするべきでしょう。
もし工事の途中で何か事故があったり、新築に住み始めてから良くない出来事が続いたりしたら、
- 「もしかして、土地の神様が怒っているのかな」
- 「やっぱり地鎮祭をやっておかばよかったかな」
と後悔するかもしれませんよ。
目には見えないものの力を感じること、そして守られていることに感謝することで、その土地や家に対する想いも強くなります。
なんといっても、家を作ることに対する姿勢を新たにできるというのはステキな風習ですよね!
地鎮祭の意味や詳しい方法、心構えなどについてはこちらのサイトでも、わかりやすくまとめられていますのでぜひ参考にしてみてください!
⇒ 地鎮祭とは?式の意味や経費の相場、流れや日取りなど
さて、そんなこんなで始まった家づくりが、土台→1階→2階・・・と進んでいき、屋根の一番上の部材である「棟木」を取り付ける段階まで進むと、もう完成も間近!
これを「上棟」と呼び、このタイミングで各工程に関わった人々が集まってお祝いすることを「上棟式」といいます。(「建前(たてまえ)」と呼ぶこともあります。)
鉄骨系の住宅の場合は鉄骨工事が終わった段階を、鉄筋コンクリート造の場合はコンクリートの打ち込みが終わった段階がこれに該当しますよ。
「無事に棟が上がったぞ!」とお祝いすると共に、ここまで頑張ってくれた施工メーカーの職人さんたちをもてなすという意味もありますので、施主さんがイニシアティブを取るべきイベント!
まずはその流れと、用意すべきものを確認しておきましょう。
【上棟式の流れ】
- ① 棟木に弊串(木の串に2本の紙垂れをはさんだもの)を立て、破魔矢を飾る
- ② 建物の四方に酒・塩・米をまいて清める
- ③ 施主のあいさつの後、乾杯
- ④ 工事に関わっている職人さんたちの紹介
- ⑤ 施主から職人さんへ祝儀を渡す
- ⑥ 手締め(掛け声と手拍子)で終了!
※施主挨拶の例文はこちらのサイトがわかりやすいです!
⇒ 上棟式の施主(施工者)の挨拶で話す内容、例文と乾杯の掛け声について
【施主側が準備するもの】
- 塩
- 米
- お神酒
- 料理や飲み物
- 工事関係者へのご祝儀(@5,000円〜)
※地域によって細かい方法が異なりますので、新築する地域の風習に従いましょう!
家族の人生のステージである家の建築に携わってもらうとことは、ある意味では一生のお付き合い。
各工程を担当する職人さんたちがどんな思いで作業にあたっているのか、施主はマイホームにどんな夢やあこがれを抱いているのか?
・・・お互いを知り合うことで、気持ちをリフレッシュ!その後の工程にも熱が入るはずです。
ぶっちゃけで言うと、上棟式とは新築工事の「中だるみ」を解消する意味もあるんじゃないでしょうか!?
施主が関与する工程としてもう一つ、外せないのは最後の「内覧会」です。
よく、ネットでも「WEB内覧会」というタイトルで新築の中身を紹介しているブログを見かけませんか?
私はてっきり、これから家を建てる人向けの見学会のようなものかと思っていたのですが、正確には「竣工検査」を指してこのような呼び方をしているようです。
(※ただし、ハウスメーカーがモデルハウスやオープンハウスの公開をする場合にも「内覧会」と表現するケースもあります)
竣工検査とは、完成した建物に問題がないかどうかをチェックする工程。
傷はないか?気になる不具合はないか?図面通りの仕上がりになっているか?
もし何か問題があれば、この段階で指摘して補修してもらいます。
この工程を経てローンの決済や引き渡し、引越し・・・と進んでいきますので、ここで指摘しないと何か不具合があっても直してもらえなくなってしまうかもしれないわけですよ!
傷や汚れは、最初からあったものなのか、入居してからつけてしまったものなのか?判断しにくいですからね。
ですから、内覧会は非常に重要な工程。
家を買う人にとっては、最も大事にしたいイベントともいえます。
内覧会で特にチェックすべきポイントや万が一のトラブルの解決法については、こちらの記事でまとめていますので、併せてぜひ参考にしてみてくださいね。
⇒ 出来ばえを確かめるチャンス、内覧会でチェックポイントをくまなく調べる
⇒ 新築一戸建てに付き物のトラブル、ほとんどは事前に回避できます
とはいえ、素人の目ではよくわからない部分も多いので、最近は専門家に同行してもらうケースも増えているよう。
内覧会の立ち合いを専門としている業者もあり、床下や屋根裏など構造上の主要な部分もしっかりチェックしてもらえます。
これなら、素人が見てもよくわからない専門的な部分に不具合があっても安心!
例えば、ちょっと気になる部分があったとして。
ハウスメーカー側が「このくらいは許容範囲内ですよ」と説明した場合、それが本当に問題ないのかどうかもプロの目から判断してくれます。
内覧会立会い・同行サービスについてもっと詳しく知りたい!という場合は、「住宅コンサルティングのアネスト」さんのサイトがとても参考になりますよ。
⇒ 内覧会立会い・同行(竣工検査・完成検査)-住宅コンサルティングのアネスト
立ち合いしてもらうことのメリットや、具体的にどんなサービスを受けられるのかが事細かに解説されていますのでぜひご覧になってみてくださいね。
「家を建てるのはプロの仕事。メーカー選びさえ間違わなければ、あとはお任せしておけば大丈夫」
なんて思っているかもしれませんが、このように、地鎮祭や上棟式、内覧会・・・と、施主が積極的に関与すべき工程もいろいろあります。
行事に参加したり、現場を見学に行き施工の責任者に話を聞いたりすることは、家への「愛」を深める上でとても大切なこと。
お邪魔にならない範囲内で、現場を担当する人々と積極的にコミュニケーションをとりましょう!
繰り返しますが、家は多くの人々の汗と技術と知恵、愛が結集した「作品」なのです。
注文住宅の総合情報
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