電力自由化でアメリカの電気代は結局2倍に引き上げ!?
電力自由化に10年前に乗り出したアメリカは、結果大混乱に陥ってしまいました。
原因はいくつか考えられるので、日本の電力時床の場合は、アメリカを教訓にしてくれるよう祈るしかありません。
もし混乱に陥った場合、パニックを起こさないよう、事例を見ていきましょう。
電力の自由化とは、誰でも電力を供給でき、どこからでも電気を買うことができ、どこへでも送電できるようになることです。
これにより電力の世界にも市場原理が働いて、電気料金が安くなると考えられています。
日本では2000年から段階的に自由化が進み、2016年より一般家庭まで全面自由化されてます。
これで電気料金が安くなる、と手放しに喜びたくなるところですが、実際はそう単純でもなさそう。
先に電力自由化をおこなったアメリカ、カリフォルニア州の例をみていきます。
環境意識が高いカリフォルニア州では、再生可能エネルギーで発電された電気を、電力会社が割高で購入する制度がありました。
また同様の理由で原発を始めとする発電所の建設も進められずにいました。
そんなところに、天然ガスなど電源価格の上昇や猛暑が重なり、電力の卸売価格が上昇。
しかしカリフォルニアでは電力自由化にともなう電気料金の値上げを禁止していました。
電源は上がる、電力需要も上がる、しかし発電コストすべてが電力会社の負担になってしまったのです。
電力会社は赤字を増やし続けながら発電を続け、遂には最大手の電力会社、パシフィック・ガス&エレクトリック社が破たん。
2001年にはカリフォルニアを中心に大規模停電が発生、州の経済は悪化、知事のリコール問題まで発展したのです。
結果、電気料金の値上げを認めたところ、電力自由化前の2倍の水準まであがってしまいました。
これが、電力自由化にともないアメリカ、カリフォルニア州で起こったことです。
原因は様々なことが考えられます。
コストが高い再生可能エネルギーへの転換が早急過ぎたこと。
価格が不安定なガスに電源を依存していたこと、安定している原子力への依存を減らしていたこと。
発電コストの上昇を利用者に転嫁する仕組みができていなかったこと。
安い電力を他の州から購入する方法が乏しかったこと。
教訓としては、電力自由化がすぐに値下げに結びつくとは限らないということです。
その後、経済界や行政の努力もあり、アメリカの電力自由化にともなう騒動もひと段落しています。
悪い例をアメリカが先に作ってくれたので、日本はその轍を踏まないであろうことを願うばかりです。
消費者ができることは、見守るぐらいのことだけです。
そして、物事の仕組みが変わるときは、何らかの弊害は出るものだと、達観した姿勢をとるのも必要なことです。
無駄にパニックを起こして、混乱を招くことはないですから。
そして電力会社や新電力、経済産業省がうまい仕組みを作ってくれることを期待するしかありません。
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