電力自由化を前にセブンイレブンの事例で考える
電力自由化を考える際に、参考になるのはセブンイレブンの事例。
電力会社を変えることにより、数億円のコスト削減をおこないました。
来春の電力全面自由化以降は、一般家庭でもこの様なことは起こるのか、それともセブンイレブンが特殊だったのか、非常に興味をひかれます。
流通大手、セブンイレブンは関西圏の約1,000店舗の電力を、東京電力から調達することを決定しました。
関西電力から東京電力へ変更しただけで、年間2%、数億円が削減されたといいます。
24時間オープンしているなど、お世辞にも効率が良いとはいえないコンビニエンスストア、消費する電力量は莫大。
冷蔵効率の悪そうなドリンク什器や冷凍効率の悪そうなアイスクリーム什器、なによりも深夜営業などなど。
電気の供給元の選別の前に、ランニングコストを下げる方法はいくらでもあるだろ!!といいたいところです。
しかし本筋から大きく外れるので、この件は置いておいて……。
関西電力は業績が悪化しており、企業向けで3割、家庭向けで2割の値上げをおこなっています。
値下げにはランニングコストが安い原子力発電所の再稼働が一番なのですが、運転再開のめどは立っていません。
その状態に業を煮やし、東京電力に乗り換えたというのが、今回のセブンイレブンの例です。
一方で、関西電力も関東圏への進出をおこない、千葉県内の天然ガス発電所を買収するなど動きを活発化させています。
すでに電力の自由化がおこなわれている高圧部門。
電力会社の利益の3割を占める高圧部門ですらこの様な競争が起きています。
来春、自由化されるのは残りの7割を占める低圧部門、セブンイレブンの例を超える、さらなる競争が起きそうです。
第一、電気に品質はありません。
原子力より太陽光発電の方が電気がいいから毎日の生活も快適、家族の健康にも安心です、これではオカルトです。
値段が安い新電力だからしょっちゅう停電が起こるかも、こんな心配も不要。
なぜなら、万が一の場合に備えて電力会社によるバックアップが義務付けられているからです。
次に、切り替えが簡単です。
電力会社を変えるには、電気メーターをとり替えるだけ、利用者は手間もコストもかかりません。
セブンイレブンのように値段だけで、電力会社を決める事例が、一般家庭でも頻発する。
電力自由化は、そんな事態を引き起こしそうです。
しかし価格競争に陥らないよう、電力各社は横並びの料金体系をとるに違いないという予想をする人もいます。
さて通信の世界では、電力自由化と似た動きがすでに始まっています。
規制が緩和され、数多くのMVNOと呼ばれる企業がサービスの提供を開始しているのです。
MVNOとは、無線通信のインフラを持たずに、他社から借りることによりサービスを提供する事業者のこと。
新電力とそっくりですね。
MVNOは様々な特長を活かして差別化をおこなっていますが、今一つ定着しているとはいい難い状況です。
それには通話や通信速度に対する不安があるからだと思われますが、電気ではそんなことは起きません。
今後、価格破壊をおこなう新電力が登場すれば大きなインパクトを持っているはず、注目したいところです。
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