電力自由化が中部電力を動かした「クラブカテエネ」がスタート
顧客の囲い込み。他の業界では当たり前のようにおこなっていることを、今さら始めた中部電力。
電力自由化は強いインパクトを持っています。
電力自由化後も中部電力は顧客に支持されるのか、それを見極めるうえでも興味深い事象です。
中部電力はWeb会員向けのサービス「Club KateEne(クラブカテエネ)」を今年の3月にリニューアルしました。
その内容とは、
前年同月の電気料金比較や、他の家庭と電気の使用状況の比較ができる。
契約情報をもとに、最適な料金のシミュレーションができる。
他には中部地方の食材を使用したレシピなどの情報や、電子マネーと交換できるポイントも取り入れました。
従来は電気料金の明細が照会できるぐらいしかなかったのですから、大幅なリニューアルです。
さらにクラブカテエネに登録することで、電化製品やギフト券が当たるキャンペーンを実施するなど、大変な力の入れようです。
この背景には、来年4月に迫る電力自由化があることは間違いありません。
自由に電力会社を選べるようになる時代に向けて、中部電力も既存ユーザーの囲い込みに必死ということでしょう。
電力自由化は、工場や商業施設などの高圧部門ですでになされています。
その高圧部門で、インパクトの大きい出来事が起こりました。
電力自由化とセブン-イレブンの事例を見てみましょう。
コンビニエンス業界最大手、セブンイレブンの関西圏にある店舗が、東京電力と契約を結んだというのです。
契約していた関西電力は原発の再稼働が難しいこともあり、発電コストが上昇。
それにともない家庭向けの低圧部門で2割、企業向けの高圧部門で3割の電気代の値上げをおこないました。
そこで関西圏の約1,000店が、東京電力と契約を結ぶことになったのです。
来春自由化されるのは、家庭向けの低圧部門、電力会社の利益の7割を占めるといいます。
顧客の囲い込みの必要性を痛感した中部電力が取った策がクラブカテエネ。
小売業ならば当たり前のようにやっていることを今さらやりはじめたというわけです。
先述のセブンイレブンの件で明らかになったのは、中部電力には東京電力ほどの力がないということです。
といってしまうと怒られそうですが、実際、妙に思うのです。
関西電力圏に電気を供給することを考えるなら、まずは近隣の中部電力で検討するはず。
その要望に答えられなかったから、東京電力に顧客をとられてしまったのでしょう。
そして、一般家庭の繋ぎとめとしてのクラブカテエネ、確かに多少の効果は見込めるかもしれません。
しかし「チープ・エネルギー・クラブ」のような存在が出てきたらどうでしょうか。
これはイギリスの電力協同組合のこと。
数万という組合員が電力を購入する条件で、複数の電力会社から好条件を引き出しています。
この様なものが組織されてしまったら、クラブカテエネ程度では太刀打ちできないでしょう。
数万件単位で顧客が逃げるのです。
「クラブカテエネにコストをつぎ込むぐらいなら、電気代を安くしてよ」こんな声が聞こえてくる時代が来そうです。
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