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中古の家の価格と長期優良住宅

国策で進められている長期優良住宅の想定耐用年数は、90年〜100年(3世代利用)で、この制度が施行されて約8年が経過し、やっとハウスメーカーでも長期優良住宅を標準仕様とするところまできました。

 

しかし、中古市場では依然として20年〜25年で中古の家の査定額をゼロとしている場合が多く、上に挙げた長期優良住宅の耐用年数とのギャップが今後の課題となると予感されます。

 

このような状況を改善するため、国は中古の家の品質や性能を消費者に分かりやすく評価する、

 

そして取引価格や担保価値に反映されるような指針を平成26年3月に発表し、これを受けて平成27年7月には公益財団法人不動産流通推進センターが宅建業者の評価実務用として「既存住宅価格査定マニュアル」を改定しています。

 

さらに、不動産鑑定士向けとしては、建物の性能やリフォーム状況を的確に反映することを目的として、「既存戸建住宅の評価に関する留意点」策定し公表されています。

 

ですから、今後は耐用年数の長い長期優良住宅は、その基本性能にふさわしい適正な評価が行われると予測されますが、前提には基準で定められたメンテナンスやリフォームを適正に行っていることが必要になります。

 

骨組みがしっかりしている評価額ゼロの中古の家は格安物件

最近の中古市場では、リノベーションという言葉を良く耳にするようになりましたが、リフォームがどちらかというと模様替えの意味で使われるのに対して、リノベーションは刷新の意味で使われているようです。

 

中古の家を刷新する場合、かなりの部分をやり替える訳ですから、骨組みだけは比較的しっかりしているが評価額はゼロで、土地価格だけの売買、となるとこれは格安と言えるでしょう。

 

評価額がゼロの家は少なくとも20年以上の築年数で、現在の耐震基準や省エネ基準では問題があり、耐震補強や断熱材等に大きな改善を必要としますが、解体・新築となるとそれ以上の費用が必要となります。

 

新築の家も20年以上経つと、生活スタイルの変化や家に求められる性能にも大きな変化があり、単に模様替えだけでは対応できなくなり、必然的にリノベーションが必要となります。

 

ですから、立地条件を気に入り骨組みがしっかりしている格安中古が見つかったら、建替えだけでなくリノベーションも選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。

 

中古の家の購入にはリフォーム費用を含めたローンがお勧め

よほど築年数の浅い家でない限りは、何らかのリフォームが必要なのが中古物件です。

 

中古の家の購入に際しては、購入ローンとリフォームローンがありますが、それぞれを別々に行った場合には手続きや諸費用が2重に必要となるため、一括で借り入れる方が経済的で合理的です。

 

購入費用とリフォーム費用を一括で借入れできるローンには、民間のものが多く用意されていますが、本格的なリフォームを計画している場合は、やはり住宅金融支援機構と民間銀行が提携しているフラット35(リフォーム一体型)がお勧めです。

 

理由は、フラット35の場合、融資基準として住宅金融支援機構が定める建設基準に適合していることが必要なため、

 

購入する中古の家の耐震性能や省エネ性能などをリフォームで改善する必要があり、おのずと家の使用耐用年数も向上するからです。

 

いずれにしても、ローンを考える場合は、まずはフラット35から検討してみることを勧めます。

 

新築・中古を問わず家のローン審査は個人信用情報が基本

新築でも中古でも家を購入する時のローン利用者の審査基準には差がありません。

 

まず、税金やクレジット払いに滞納や遅延が無いこと、そして消費者金融などからの借入れが無いことが大前提になります。

 

次に、安定した収入があることで基本的には正社員で勤続3年以上としていますが、最近では契約社員や派遣社員でも安定していれば可としています。

 

なお、自営業の場合は事業の継続年数と、きちんと確定申告していることが必要で、もちろん赤字申告では借入れは出来ません。

 

ここまでで、問題がなければ借入額に対する返済能力や購入予定の土地や家の担保価値、さらには健康状態などから判断されます。

 

ローンの借入れ審査には、申込み先の銀行が行う事前審査と信用会社が行う本審査の2段階があり、先のクレジットの支払い状況や消費者金融の利用の有無などの個人信用情報の確認は本審査で行われます。

 

中古の家のローン控除とすまい給付金

家を購入する時の住宅ローン控除(住宅借入金特別控除)とは、年末時のローン残高に応じて、消費税8%の現在では年に最大40万円まで10年間所得税が控除されると言うもので、新築・中古問わず適用されます。

 

例えば、年末時のローン残高が3000万円の場合、控除率が1%ですから30万の所得税控除があり、

 

その年の所得税から30万円が減額(還付)されるということで、この控除額の計算を毎年末ごとに行い、10年間控除されます。

 

ただし、年間の所得額が3000万円以下、築20年以内あるいは耐震基準を満たすもの、などの必要な要件があります。

 

なお、上記のローン控除とは別に、住宅ローンを利用した場合に、年収によっては最大30万円の「すまい給付金」を貰うこともできます。

 

現在の消費税8%の段階では、専業主婦家庭で子供が16歳未満の場合、年収が400万円以下の場合で30万円の給付金とされており、同家庭で年収が500万円の時には、10万円とされています。

 

中古の500万の家は建て替えるかリフォームするか

中古の家で500万円前後となると、ほとんど土地価格のみで家の評価額はゼロに近いものと推測できます。

 

そして、経年も少なくとも築20年以上と思われ、建て替えかリフォームが必要となりますが、その判断はどこですればいいでしょうか。

 

市場での評価額としてはゼロに近い家でも、雨漏りや結露などで構造体に腐食がなければ、補強などで現在の耐震基準に適合させることはできます。

 

また、中古の間取りが古くて家族の生活スタイルに合わない時には、内部の間仕切りを補強などを行いながら移動や撤去することもできます。

 

従って、中古の家でも柱や梁などの構造体に問題がない場合は、建替えではなくリノベーションを考えてみてはいかがでしょうか。

 

中古の家を建て替える時には、新築費のほかに解体・撤去、そして廃棄の費用がかかりるため、新築物件を購入するよりも高くなります。

 

十分に利用可能な1000万円の中古の家とリフォーム

近年の新築戸建分譲は12万戸台で推移していますが、少子高齢化が進んでいる中では住宅のストック数が全世帯数を上回り、年々空き家が増えてきている状況です。

 

従って、都市圏でも築年数を問わなければ1000万円ほどの中古の家を探すことは可能となってきており、田舎暮らしなどで代表されるようなローカルな地域では、十分に利用可能な中古を購入することができます。

 

ただし、極端に近隣相場から安い土地価格であったり、築年数にそぐわない家の評価額であったりした時には、やはり何らかの理由がありますから注意してください。

 

1000万円の中古と言うと、何となくお手軽で買いやすい値段ではないかと思いますが、永く住むためには築年数に応じた何らかのリフォームは必要となります。

 

なお、住宅ローンを利用する場合には最低限の耐震基準などをクリアする必要がありますが、その場合にはクリアさせるための費用が高額になるため、事前に住宅設計技術者などに相談して、必要なリフォームの概算費用を確認しておくようにしましょう。

 

1000万円以下の中古の家は比較的あるが瑕疵に注意

1000万円以下の中古の家は比較的多く市場に出ていますが、購入に際してはその価格が近隣と比べて相場に合ったものか、また汚れや劣化が経年相当のものなのかを確認しておく必要があります。

 

相場から安く買いたいのは心情ですが、極端に近隣相場に比べて安いと感じた場合には、何らかの瑕疵を疑ってみるべきでしょう。

 

中古の家で注意しなければならない瑕疵には、土地や家に直接的なものではなく死亡事件や治安などによるもの、水害を受けやすい或いは地盤沈下などの地域によるもの、そして家そのものの瑕疵があります。

 

これらの内、購入者が解決できるのは家の瑕疵で、リフォームやリノベーションを行えば新たな価値を生み出すこともできるでしょう。

 

しかし、それ以外の瑕疵が近隣相場より安い理由である場合は、後悔しないためにも敬遠しておく方がいいと思います。

 

1500万円の中古の家の相場を計算してみる

仮に1500万円の中古が見つかった時、その価格が高いのか安いのかを判断する方法には、どのような方法があるでしょうか。

 

一般的に土地価格は経年で下がることがなく近隣の売買価格などから推測出来ますが、家の方は年々下がり中古市場では20年〜25年でその評価額がゼロになると言われています。

 

固定資産税の木造家屋経年減点補正率では、標準的な住宅で12年で0.5、25年で0.2に、品質の高いものでは16年で0.5、35年で0.2に下がります。

 

固定資産税は税額計算時に同じものを新築したとした時の価格に、上の経年減点補正率を利用して計算されていますので、比較的実態にあったものと言えるでしょう。

 

家の評価基準はこの減点補正率だけではありませんが、分かりやすく言えば、25年あるいは35年で新築時の2割の価値になると言うことです。

 

従って、中古の家の売買価格から近隣の土地価格を参考に計算すれば家の評価額が判り、簡略的には築年数の減点補正率から高いのか安いのかが比較的分かりやすく検討しやすくなります。

 

2000万円の中古の家のリフォーム計画

土地の大小や地域、さらには家の経年や品質によって一概には言えませんが、2000万円の中古と言うのはまだまだ耐用年数が十分に残っている価格帯と言えるでしょう。

 

中古の家と言っても2000万円は、もう少し借入額を増やせば新築を買える金額ですから、中古であっても耐用年数を伸ばす、あるいは維持するためのメンテナンスを欠かすことはできません。

 

築年数によっては、何のリフォームも必要がなくクリーニングだけで利用できるかもしれませんが、

 

屋根や外壁では10年〜15年くらいで塗装リフォームが必要になってきますので、購入後の数年でそれらのリフォームが必要になる場合があります。

 

また、家族構成や高齢化に伴う生活スタイルの変化に合わせたリフォームも必要となってくるため、中古の家の購入に際しては新築の購入時よりも入念なリフォーム計画を持っておくことが重要です。

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