ガスの自由化で都市ガスの値段は上がるだけだった?
ガスの完全自由化によって、都市ガスの価格が下がる。
これが期待されていることですが、実際はどうでしょうか?
自由化によって現在のガス料金規制が撤廃されるだけで、都市ガスの値段は上がるだけではないか?
そんな懸念もあるのです。
工場や大型の事業所など大口のガスを消費する顧客については、すでに自由化はおこなわれています。
私たちの知らないところで、激しいシェアの奪い合いがおこなわれていたということですね。
一方で、全く話題にならずひっそりと進められている観のある「ガスの完全自由化」。
これは地域によって供給する会社が決まっていた都市ガスの規制が、完全に外れるということです。
大口の需要だけではなく、今度は家庭用も含めてガスの供給元を選べる自由化が、完全に成し遂げられるということ。
これにより来年4月より自由化になるのは家庭用の都市ガスの分、全体の40%、市場規模は2.4兆円とされています。
もっと話題になってよさそうなものなのですが、意外とひっそりとしたものになっているのはなぜでしょうか?
話題になったら困る事態でもあるのでしょうか?
自由化、すなわち安くなると喜んでばかりいられない事情がそこにあるからなのでしょうか?
原料のほぼ100%を輸入に頼っている都市ガスは、本来ならば為替の変動を大きく受ける事業です。
円が変動するたびに、ガスの値段も大きく上下するはずなのですが、ガス料金についてはそれほど上下しているイメージはないはず。
なぜなら、料金規制が設けられており変動の幅を抑える仕組みになっているからです。
しかし、都市ガスの自由化の見返りとして料金規制の撤廃がおこなわれる公算が強くなっています。
一方で都市ガスの自由化を受けて、新規参入する企業が少ないという懸念があります。
なぜなら電線と異なり、ガスの供給管は日本中でつながっているいるわけではないからです。
関東なら関東、関西なら関西、エリアごとに分断された形になっています。
これは特定のエリアから離れて立地している企業が、参入できないということ。
つまり、競争が起きにくいことを表しています。
料金の規制が撤廃される、自由競争は進まない。
都市ガスの自由化で心配されていることはこれなのです。
すでに自由化がおこなわれている大口の需要者に対する売込みによって、ガスの供給元は相当体力を削られているとの説があります。
実際、東京ガスの利益の9割を生み出しているのは家庭用の小口の需要、ここを削られてしまっては死活問題。
料金規制の撤廃で値上げをおこない、利益幅を確保しようとする可能性があるのです。
一方で新規参入の企業もないから、ガス会社の変更もできない。
ガスの自由化がおこなわれた結果、価格が上がっただけだった、これは充分に起こりうる事態です。
これらの議論を避けるために、都市ガスの自由化について話題に登らないようにしている。
、、、まさかそんなことはないとは思いますが。
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