リフォームで増築する際に、防火や準防火地域では全ての増築、それ以外の地域でも増築部分が10m2を超えると建築基準法上の建築確認申請が必要となります。
そして、建築確認申請に際しては、増築部分だけでなく既存部分も申請対象になり、全ての部分が現行の基準に適合していることが求められます。
つまり、増築部分が10m2を超えると、古い建築基準法で建てられた部分もリフォーム対象としなければならない場合があり、計画内容が大きく異ることとなります。
古い部分(既存不適格部分)も耐震性能などで最新の基準に適合させることは良いことなのですが、確認申請書の作成・申請に費用や日数が掛かるため注意が必要です。
なお、無申請で10m2を超える違法増築を行った場合、管轄の行政から工事差し止めや除却命令が出ますので、事前に設計事務所等に相談しておくことを勧めます。
リフォームや増改築する時には、少なくとも耐震性能や省エネ性能を最新の基準に合わせておこことが、住宅の長期利用に繋がります。
なお、建築基準法では10m2以内の増築(防火・準防火地域以外)であれば、既存部分を古いままに行えますが、できれば耐震性能や省エネ性能を最新にするための全体リフォームも合わせて検討することを勧めます。
また、主要構造部(壁、柱、床、はり、屋根又は階段)の一種以上について行う過半の修繕あるいは模様替えでも建築確認申請が必要になるため、この時は迷わず上記に挙げた各性能などを最新のものにしておきましょう。
いずれにしても、リフォームや増改築を計画する時には、以後の数十年の利用を目的としていますから、それに耐えうる性能を確保しておくことが、2世代・3世代へと繋げられる住宅になると思います。
リフォームには、原状回復や模様替えなどの意味合いが強く、増改築には構造部分や間仕切りなどの変更に重きを置いた印象がありますが、一般的な使い方では違いが明確になっていません。
一方、建築基準法ではリフォームと言う文言は使用されておらず、修繕、修復、模様替え、あるいは増築や改築で表現されています。
いずれにしても、リフォームや増改築の内容、そして規模によっては、建築確認申請が必要になりますので注意してください。
建築確認申請が必要なリフォームあるいは増改築は、壁、柱、床、はり、屋根又は階段などの一種以上について行う過半の修繕、または10m2を超える増築(防火・準防火地域以外)となっています。
建築確認申請を提出・受理した場合、工事完了後には完了検査を受けなければならず、合格した場合には検査済書が発行されます。
なお、建築確認申請が必要な工事を無申請で行った場合は、行政庁から施工停止や除却命令が出る上に、3年以下の懲役もしくは3000万円以下の罰金となります。
さらに、検査済書の交付を受けない場合は、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金となっていますので、違反建築物とならないよう注意してください。
そして、違反建築物は、何らかの事情で転売する際に、不利な条件になることも知っておいてください。
増築・リフォームで二世帯住宅とする場合は、少し規模の大きい工事になると予測されるため、建築基準法の建蔽率や容積率の各制限に違反しないように注意しなければなりません。
建蔽率とは敷地面積に対する建物の最大水平投影面積の割合で、容積率とは敷地面積に対する建物の延床面積に対する割合のことをいいます。
例えば、建蔽率・容積率が50%・150%の地域で敷地面積が120m2であれば、建物の最大水平面積・最大延床面積は、60m2・180m2となります。
従って、180/60=3となりますので、3階建てまで可能となりますが、この地域が3階建てが不可の場合は2階建てで120m2が最大の延床面積となります。
そして、よほど大きな敷地でない限りは上記の各制限ギリギリまで建築されているのが多いですから、増築に際しては注意が必要です。
なお、増築に際しては上記以外にも既存部分を含めて、高さ制限、耐震性能、居室の採光量などの規制があるため、信頼できる設計事務所等に相談・依頼することを勧めます。
新築の場合には、そのグレードによる差はあるものの一定の相場観がありますが、リフォームによる増築では既存部分の不確定要素があるため、増築面積当たりの価格差が非常に大きくなります。
例えば、増築では既存部分との接合部分に何らかの撤去・復旧が必要になる上に、10m2を超える増築では建築確認申請が必要となり、既存部分も現行の建築基準法に適合させる必要が出て来る場合があるのです。
これらは、古い住宅ほどその傾向があるため、増築リフォームする際には設計事務所等に事前に調査してもらい、増築する部分やリフォーム内容について十分に検討しておくことが必要です。
特に、2000年以前の住宅では何らかの耐震改修が必要となるため、当初予定していなかったリフォームも必要となります。
いずれにしても、増築リフォームは新築よりも面積に対する価格が割高になりますが、最新の基準や技術で更新し、住宅の寿命を延ばす良い機会と考えるべきだと思います。
注文住宅の総合情報
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