現行の耐震基準は2000年に改定されたもので、その際に地耐力による基礎の形状が規定されており、リフォームで基礎の補強が必要な場合には、この基準が参考になります。
ただし、住宅が不同沈下を起こしていない既存の住宅地では、ある程度は地耐力も安定していると思われるため、基礎のリフォームが必要なケースは限定されます。
現在の住宅基礎では鉄筋コンクリート造が標準ですが、床下換気口部分に亀裂などを起こしている場合は、補強が必要となります。
また、古い住宅では無筋コンクリート造としている場合もありますので、その場合は本格的な基礎補強をしておくことを勧めます。
上記の補強方法としては、既存の基礎に新たな基礎を添わせて新旧の基礎を一体化させる方法やグラスウール繊維を貼り付けて行う方法などがありますが、いずれの場合も既存床の撤去を伴いますので内部のリフォームと合わせて行うことを勧めます。
なお基礎構造の適否や補強方法などは、専門家の耐震診断が基本となりますので、事前に上部構造体とも合わせて診断しておくようにしましょう。
現在の住宅基礎は、ベタ基礎、そして布基礎と防湿コンクリートを併用したものがほとんどですが、古い住宅では布基礎と土の上に直接置かれた束石との組合せが主流でした。
1階の床は、布基礎上部の土台と束石上部の床束・大引で支えられていますが、束石が土の上に置かれている場合は、地面からの湿気で腐朽菌による劣化が進んでいる場合があります。
また、束石が土の上に直接置かれているため、束石の沈下から床が波打っている場合もあるため、上記を合わせて改善するためには、布基礎で囲まれた土部分に割れ防止のメッシュ筋などを入れた防湿コンクリートの追加を勧めます。
以上の工事には、1階の床撤去を伴い工事規模も比較的大きくなりますので、出来るだけ効果を上げるためには、専門家の耐震診断を受け、その他の構造的問題がないかを確認すると共に、他のリフォームも合わせて行うのがいいでしょう。
柱や梁などの緊結や腐食、そして間仕切り変更による柱や筋交いなどの撤去と移設が後に問題となることがあります。
なお、構造躯体が露わになるリフォームでは、その後の数十年の利用を考慮して、現行の耐震基準に合わせて長期寿を視野に入れた点検をしておくべきでしょう。
また、構造躯体が露わになる時には断熱材の入替えも検討しなければなりませんので、その際にも現行の断熱基準に合わせた仕様としておくことを勧めます。
断熱材、そして断熱サッシを現行の省エネ基準に適合させておけば、国の施策として進めているゼロ・エネルギー住宅にも対応が可能となります。
ただし、ゼロ・エネルギー住宅とするには、太陽光発電のような創エネルギー設備も必要になりますが、これはリフォーム後に付加することも可能です。
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