リフォームは新築に比べて比較的安易に進めがちですが、増築の規模によっては建築確認申請が必要な場合があり、事前に確認しておく必要があります。
建築基準法では、木造2階建て住宅は4号建築物に該当し、10m2を超える増築時(防火・準防火地域以外)にのみ建築確認申請が必要となります。
なお、増築による建築確認申請の審査対象の基本は増築部分だけですが、増築によって既存部分の安全性を損なう恐れがある場合は、既存部分も審査対象となるため、現実には住宅全体が審査対象と見るべきでしょう。
その場合は、既存部分の耐震性の改修や改善を求められますので、予想外のコストアップになることがあります。
本来、建築確認申請が必要なものを無申請で行った場合は違法建築物となりますから、融資の障害や転売時の不利益になることがあります。
いずれにしても、リフォームに際しての建築確認申請の必要の有無判断には、法文の解釈や適用条件などに専門的な知識が必要なため、建築士に相談されることを勧めます。
新築では、どのような形であれ建築士が関わっていますが、リフォームで建築士が表に出てくるのは非常に少なく、ユーザーもあまり意識することがないのではないでしょうか。
リフォームも規模が大きくなると建築確認申請が必要になるため、建築士と打合せすることもあると思いますが、内外装や住設備のリフレッシュ、さらに軽微な間取り変更などでも建築士が表にでてくることは少ないと思います。
しかし、建築士の業務は建築基準法上の知識や建築技術だけでなく、生活スタイルの提案やデザイン・コーディネートなどにも精通しているため、出来れば建築士の活用を勧めます。
また、実際にリフォーム設計を依頼するだけでなく、事前相談することもできますので、大いに活用するべきでしょう。
建築士に設計を依頼する場合の費用は、リフォーム工事費の5〜10%ほどになりますが、単に相談の場合には無償のことが多く、相談の段階で正式に依頼するか否かの判断をすればいいと思います。
建設業法によると、1件の工事請負総額が税込み500万円以上の場合、あるいは建築一式の工事請負総額が1500万円以上の場合には、建設業許可を受けた者でなければ請け負うことができないとされています。
上記で1件の工事とは、例えば塗装工事や内装工事をそれぞれの専業者が個別に請け負う場合で、建築一式の工事とはそれらを合わせて元請けとなる場合のことを言います。
言い換えれば、塗装工事を専業で営んでいる場合は塗装工事業の建設業許可を、内装工事を専業で営んでいる場合は内装仕上げ工事業の建設業許可を受け、それらを元請けで請け負う場合には建築工事業(建築一式工事)の許可を受けることになります。
従って、外壁塗装のみやクロス貼替えのみなどのリフォームでは、標準的には500万円未満で納まりますから、建設業許可を受けていなくとも請け負えることとなります。
しかし、建設業許可を受けるためには、経営状態や所属する建築技術者の実務経験年数などが審査要件となっていますから、基本的な社会的信用を得るために、リフォーム業者のほとんどが許可を受けているのが現実でしょう。
リフォームで建築確認申請が必要なケースには、木造2階建ての場合、10m2を超える増築(防火・準防火地域以外)があります。
つまり、10m2以内の増築や間仕切り変更などは建築確認申請の対象とはならない、と言うことです。
しかし、勘違いしてはいけないのは、建築確認申請が不要な範囲の増築や間仕切り変更であっても、建築基準法違反が許される訳ではありません。
リフォームの結果で違反建築物となった場合は、何よりも安全性が損なわれるだけでなく、中古市場での評価も下がってしまいます。
なお、リフォーム業者がリフォーム瑕疵保険会社に登録しており、工事請負に際してこの保険の適用を受けるためには、建築確認申請の必要性の有無を問わず、保険会社が定める設計施工基準に適合している必要があります。
この保険会社の設計施工基準は、概ね現行の建築基準法に基いており、古い住宅では基準に適合させるために、当初の予算以上のコストが掛かる場合があります。
しかし、一方では最新の設計施工基準が適用されることで、安全性の向上や住宅の寿命を延ばすことになると共に、住宅の価値を上げることにも繋がります。
リフォームの設計に「建築家」は必要ですか、と聞かれると返事に困った挙句、「建築士」は必要です、となるでしょう。
一般に、「建築家」とは相応に名前の通った人のことを言い、多くは周りの人がその人の才能を評価して使う言葉で、自らを「建築家」と紹介する人は、よほどの自信家か自惚れ屋さんでしょう。
この辺のニュアンスは、「先生」と言う呼称の使い方に少し似ています。
また、「建築家」にはコンセプトやデザイン(意匠)を重視したイメージがあり、「建築士」には専門的な技術や知識を身につけた人を指すイメージがあります。
事実、「建築家」の中には一級建築士の資格を持たない人も稀にいますので、あながち間違った定義ではないように思います。
さて、リフォームに「建築家」は必要かとなると、答えはYesでありNoでもあります。
つまり、修復や修繕では「建築家」は不要で、少し規模の大きいリフォームやリノベーションでも「建築士」の裁量の範囲で十分に満足のいく結果が得られますし、コンセプト企画やデザイン能力の優れた無名の建築士も数多くいます。
さらに、「建築士」よりも、いわゆる「建築家」の設計料の方が高くなる傾向がありますので、よほど気に入った「建築家」でない限り、「建築家」を選択する必要はないと思います。
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