突発的な修理は別として、一般的なリフォーム設計では住宅の長期利用を見据えた、そして出来れば次のリフォームも視野にいれて計画的に進めるようにしましょう。
かつては比較的寿命の短い日本の住宅でしたが、現在ではリフォームに対する考え方や建設基準の向上などで、きちんとリフォームすれば50年・60年の耐久性を確保することは可能となっています。
リフォームは決して安くない費用ですから、コストパフォーマンスの高い内容としておく必要があり、そのためには住宅基本性能の耐震性能と断熱性能2本柱を充実させておくことを勧めます。
これらの基本性能を確保するためには、既存住宅の状況によっては高コストになる場合もありますが、その後の安心感や冷暖房のランニングコストの軽減にもなり、リフォームではまず検討しておく部分です。
基本性能を確保した後では、内外装や住設備のメンテナンスや生活スタイルの変化に伴うリフォームとなりますので、比較的規模の小さいリフォームで済むようになります。
リフォーム費用が新築費用に近づけば近づくほど、建て替えた方が良いのではないかと迷いますが、その判断基準をどのように考えればよいのか検討してみましょう。
建築コストに対する基礎や柱・梁などの構造躯体の割合は30%ほどが標準ですから、この構造躯体に十分な利用価値が残っている場合は、その30%を捨てる、あるいは費用をかけて解体処分するよりは再利用する方が合理的です。
つまり、平均的な新築坪単価を75万円とするなら、全体のリフォーム費用がその70%以上(52.5万円/坪)なら建て替えの方に合理性があるとも言えるのです。
ただし、建て替えには解体や処分などの費用が別途必要で、新築以上の費用が必要だと言うこともあり、上記の30%を上手に生かす方法としてリノベーションが認知されるようになってきています。
一方、コストの問題だけではなく、希望する間取りや延床が既存の構造体では実現できない場合には建て替えとなりますが、ごく稀に元の大きさ以上に建てることができない、或いは小さくなる場合もありますので注意が必要です。
これは、住環境が整備されるにつれて、建築基準法上の建蔽率や容積率の変更が行われているためで、多くの場合は制限が厳しくなる傾向にあります。
リフォームを進める手順も新築の場合と基本的には変わりませんが、リフォームの場合には事前の現状把握と言う新築時にはない手順が必要になります。
この現状把握には、劣化状態や耐震性能などの確認があり、少なくとも最初のリフォーム時には専門家の住宅診断を受け、劣化程度や進行スピード、そして耐震性能の適否が判れば、その後のリフォーム計画の指針にもなります。
また、内装や住設備のリフォームでは、これまでの使用感と不具合の有無や内容などを再認識した上で、仕様選択することが失敗しないリフォームに繋がると共に、質を上げる方法だと思います。
住宅診断士は、現在ではまだ公的な資格ではなく民間資格ですが、多くは建築士の有資格者が担っており、建築・不動産や診断方法などに熟知しています。
ただし、民間資格で住宅診断するための取得義務はないため、建築士資格だけでなく全くの無資格者でも行えることから、最低限でも建築資格者であるか否かの確認はしておくべきでしょう。
リフォームの流れには、相見積り業者の選択、そして相談内容に基づくプラン提案と見積りまでの無償段階と、契約から着工、そして完成・引渡しまでの有償段階があります。
これらの各作業はどれも重要なものですが、中でも重要なのは提案内容と見積り額の説明で最も納得のいくものを選択することで、単に見積額の安さだけで選ぶと、その後の工事で後悔することがあります。
提案された内容が希望に沿ったものか、見積りに示された内容や仕様が希望しているものなのかを、十分に説明をうけ納得しておくことが、その後の工事がスムーズに流れるために必要なことです。
中途半端な理解や安易な妥協で、工事途中の問い合わせや後戻り工事になるようでは、スムーズな工事は望めず、双方に不信や不快感が発生し、満足な結果が望めなくなる可能性があるため注意しましょう。
注文住宅の総合情報
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