現在の耐震基準は、1981年に大きく変更され2000年に阪神淡路大震災の影響を受けて追加・修正されたものです。
ですから、リフォームで耐震性を上げるためには、築36年以上の住宅では基本からの見直し、そして築17年以上のものでは接合部等の補強が必要になる可能性があります。
しかし、古い住宅でも良好な環境であったりメンテナンスが適正であれば、柱や梁には十分な耐力が残っており、鉛直構面(筋交いや耐力壁のこと)の追加や補強で、その後の数十年の使用にも耐えられるようになります。
なお、2000年には住宅性能保証制度(現行の住宅性能表示制度)が施行されており、ここに規定されている水平構面の考え方をリフォームの際に取り入れることを勧めます。
水平構面とは、床あるいは床下地のことで、縦軸が揺れるのを防ぐ筋交いや耐力壁に対して、水平構面は床がひし形にねじれることを防ぐためのものです。
真に耐震性能を向上させるためには、この鉛直構面と水平構面を強固に、そしてバランス良く配置することが重要で、住宅の長寿命化の基本でもあります。
リフォームのタイミングは、基本部分の性能が劣化する前に行うことが大事で、ひとたび劣化してからでは修繕や修復が必要になるため、コストが上がるだけでなく、住宅の耐用年数の低下に繋がります。
例えば、屋根の点検やリフォームを定期的に行っていれば、雨漏りに繋がることは稀ですが、雨漏りに気づいてからの修繕リフォームでは、ルーフィングからの取替が必要となり、工事規模も拡大してしまいます。
また、全ての瓦を撤去しての葺き替えであれば問題ありませんが、部分修繕では新旧の境界部分に問題を残すこともあり、同様のことは外壁にも言えます。
従って、住宅の耐用年数に大きく影響する屋根や外壁の点検は定期的に行い、その結果によっては早めに適切なリフォームをすることが重要です。
なお、外壁塗装の点検は日常の中でも行え、手で擦って白い粉が手につくチョーキング現象が見られる場合はリフォーム時期で、より熱環境の厳しい屋根においては、同様あるいはそれ以上の劣化が起きていると見るべきでしょう。
一般的に、外壁や屋根の塗装リフォームは、10年〜15年ほどと言われていますので、10年を迎えるころからは意識して日常点検すると共に、それが住宅の耐用年数を延ばすことに繋がると思います。
リフォームは、住宅内外の年数の経過による劣化や住設備の不具合などをきっかけにして行われるのが多いと思いますが、それらの劣化や不具合とは別に、住設備の陳腐化や生活スタイルの変化に応じて行われるものもあります。
住設備の陳腐化が大きいのが厨房機器で、最新のガスコンロでは空焚き防止や一定の温度設定が出来るようにまでなっており、グリルの多機能化も進み、古いコンロにはない安全性や利便性があります。
生活スタイルの変化では、世帯主の高齢化や子供の独立、あるいは2世帯同居があり、この場合のリフォームは間仕切り変更や住設備にまで拡がることがあります。
いずれにしても、リフォームは対症療法的に行うのではなく、上に挙げたような年数の経過による劣化や住設備の陳腐化、さらに生活スタイルの変化を総合して予測し、事前にイメージや計画を持っておくことが大事だと言えるでしょう。
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