リフォームで減税を受けるには?
所得税減税とは、住宅の工事に要した費用の概ね10%が所得税から減額されるもので、リフォームにおいても年末調整や確定申告で適用されます。
リフォームでの所得税減税には、償還期間5年以上のリフォームローンを利用した場合と、5年未満のリフォームローンや自己資金の場合の2種類になります。
5年以上のリフォームローンを利用した場合、5年間は年末のローン残高の2%がその年の所得税額から減額され、5年未満のローンや自己資金の場合は、工事額の10%がその年のみ所得税額から減額されます。
なお、所得税減税の対象工事には、3世代同居対応改修、バリアフリー改修、省エネ改修、耐震改修、そしてその他増改築等も対象となっていますが、その組合せや減税の上限総額は上に挙げた工事費用の調達方法によって若干異なります。
一例を挙げると、3世代同居対応改修、耐震改修、、省エネ改修で25万円、そしてバリアフリー改修で20万円となりますが、詳細は税務署等で確認しておくことを勧めます。
リフォームした場合、その費用に応じて年末調整や確定申告で所得税減税をうけられますが、このメリットを受けられるのは自己名義の住宅に対して行った場合で、父親名義の住宅を子供がリフォームしても減税対象にはなりません。
従って上の場合では、相続時精算課税などの贈与控除枠などを利用して事前に住宅の名義を親から子供に変更しておく必要があり、その手続きなしでは子供から親への贈与と解釈され贈与税が発生してしまいます。
なお、名義変更で自己所有となった住宅のリフォーム費用は所得税減税を受けられますが、反面では固定資産税は住宅名義人に課せられることにも注意しましょう。
ただし、耐震リフォームの場合は1/2、あるいはバリアフリーや省エネのリフォームの場合には1/3に固定資産税が1年度分のみ軽減されます。
なお、上記で耐震と省エネのリフォームで対象となる床面積は120m2までで、バリアフリーリフォームでは床面積100m2までとなっており、超える部分は通常の税額となります。
不動産投資物件や自宅を賃貸にするために要したリフォーム費用は、確定申告時に減価償却費として申告し節税することができます。
なお、申告に際して、不動産の構造種別と耐用年数による減価償却費となるか、単年の必要経費扱いになるかの判断は難しい場合があるため、税務署等で事前に確認しておきましょう。
一般的に、原状回復の場合は経費で、使用期間の延長や性能向上に関するものは減価償却としていますが、金額の大小も合わせて判断されているようです。
また、不動産取得やリフォームに際してローンを利用した場合、その金利分は経費扱いとなりますので、資産運用ではローン利用がお得といえるでしょう。
さらに、給与所得者が不動産投資や賃貸などのサイドビジネスで赤字となった場合は、給与所得と合算することで給与所得税額を減額することができます。
賃貸物件を入居者がリフォームすることは一般的に認められておらず、オーナーの許可を得てリフォームした場合でも、退去時には入居者負担で原状復帰させるのが普通です。
しかし、最近では入居者が自由にリフォームすることを許している賃貸物件も出てきており、退去時にも原状復帰の必要がないものまで出てきています。
この背景には、賃貸物件の老朽化と入居者入替えに伴うリフレッシュ工事費の負担軽減や入居率の改善対策などがあり、若い世代のニーズに合わせた、まだまだニッチなものだと思います。
ただし、入居前のリフレッシュ費用の不要に伴い、賃料の低下も期待できることから、今後増えてくると思われます。
なお、自由にリフォームできる場合でも構造体や給排水経路に関するものは禁止とされており、主に内装関係の範囲とされていますが、念のため事前にリフォーム内容の許可と退去時の原状復帰の必要性の有無などを再確認しておくことは必要です。
中古マンションのリフォームで、一般の戸建て住宅と大きく異る点は、間仕切りの撤去や移動でも構造体の強度を考慮しなくても済む点で、ワンルーム化が比較的容易に行えます。
ですから、入居前のリフォーム計画では、一旦ワンルーム状態を想定して必要な部屋を再分割していく方法がお勧めで、スケルトンリフォームがその代表になります。
なお、ワンルーム化するために必ずしもスケルトンにする必要はありませんが、劣化した電線や給排水等を取替え、後年の不具合に繋がらないようにしておくためにはスケルトンがいいと思います。
各居室が十分に広い場合のワンルーム化はさほど必要とは思いませんが、限られた延床面積の中では、出来るだけ広い空間で残しておく方が生活空間の自由度が増え、将来の間仕切り計画もフレキスブルに行える長所があります。
最初から10数年先の利用を見越して細切れに分割するのは疑問で、その間は利用しない無用の空間になる可能性があるだけでなく、残された空間の狭さが目立つ結果となる恐れがあります。
以前はリフォーム業者の利益率は高いと言われていましたが、ネット等での情報公開や業者間の価格競争などで、次第に下がってきており、現在では20%〜30%ほどと言われています。
この場合の利益率は販売価格に対する粗利で、この中にはリフォーム会社の事務管理費や通信交通費、さらに宣伝活動費やクレームに対するリスク回避費用なども含まれています。
なお、工事金額が大きくなるほど利益率は下がり、トイレの便器交換など区切りがよい工事ほど利益率が低くなる傾向があります。
これは、上記の必要経費の内、事務管理費や宣伝活動費などは工事金額の大小に影響されないこと、そして区切りのよい仕事ではその後のクレーム発生率も少ないことなどが理由になります。
いずれにしても、リフォーム工事の利益率は他の業種と比べても高いとは言えず、相見積りなどで極端に安い場合は、現場監理やクレームに対する対応などに不安が残ります。
人口減に伴う新築着工数の減少が予測されている中で世帯数は増加傾向にあり、当初は家族4人あるいは2世帯同居と予定していた住宅も世帯分離が進み、必要が無くなった居室をリフォームで減築するケースが出てきています。
減築の具体的な例としては、2階建てを平屋に、あるいは1階下屋部分を撤去する、さらにはスケルトンにして必要な部分だけを残す方法などありますが、減築によて得られるメリットにどのようなものがあるのか考えてみましょう。
リフォームで減築すると、清掃が楽になることと生活動線が短くなること、そして平屋建てにした場合には階段の利用もなくなりますので、高齢化対策としても有効で、合わせて省エネや耐震対策にも有効なものです。
上記以外では、減築で建蔽率や容積率が下がることで豊かな街並みに貢献するだけでなく、新築時には家族数に合わせた必要床面積を優先させ犠牲にした庭を確保することもできるようになります。
住宅業者が中古物件を販売する際に、クロス貼替えや設備の入替えなどを行っているケースはありますが、一般ユーザーが自己所有の住宅を売却する時には現状渡しが多く、改めてリフォームする必要はないと思います。
一般的に中古住宅の購入者はリフォームを自分の希望や好みに合わせて行いたいと思っていますので、あえてリフォームして売却コストを上げるよりも価格をおさえる方が得策だと思います。
それよりも、仲介業者の査定の際に、部屋の片付けや清掃をしておき、住宅の維持メンテナンスが行き届いている印象を持って貰うようにするべきでしょう。
なお、空き家状態で査定を依頼する時は、よごれ具合によっては簡単なクリーニング程度は依頼するのもいいと思います。
いずれにしても、中古住宅の購入者は何らかのリフォームを前提にしていますので、無用になるかもしれないリフォームや過度のクリーニングは不要で、不快感を与えないようにしておくことで十分だと思います。
リフォーム市場は年々拡大を続け、2016年の6.2兆円から2017年には6.5兆円を予測されており、2020年には7.3兆円になると予測されていますが、その年がピークと言われています。
これは、2020年に住宅ストックがピークになることを意味しており、以降はリフォームの市場規模も減少していくことを予測したものです。
しかし、人口減による新築着工数の減少から、住宅市場におけるリフォーム比率は上がっていくだろうと思われ、当面は儲かる業種と言えるかもしれません。
一方、人口減が続く限りリフォーム市場の総量も減少していくことは避けられず、市場への参加チャンスはこの数年ではないかと思われ、既に過当競争気味の印象があります。
現状のリフォーム業界では、一般的なリフォームとリノベーションとの分野に別れつつあることも、業界の過当競争の中での住み分けの工夫と見ることもできます。
また、リフォーム市場の分野別では設備の維持修繕が1/2以上を占め、事業者別では地域工務店と住宅設備・建材系で約1/2を占めています。
その中で、家電量販店とインターネット事業者の伸びが目立っていることは、設備の維持修繕が1/2以上を占めていることと関係があると思われます。
同じ仕様の住宅でも敷地環境や使用状況が異なるため、リフォームに際しての現地調査は戸別に行うのが基本で、その調査の正確さによって、見積内容や工事結果が異なることがあります。
また、現地調査時の居住者からのヒアリングも重要で、単に不便さや希望を伝えるだけでなく、現状の利用形態や過去に起きた不具合なども詳細に伝えておくことが重要です。
例えば、冬季に壁に発生していた結露も、冬季以外にリフォームを計画した場合、ついその不具合を忘れてしまいがちですが、きちんと伝えておけば、合わせて結露対策を行うこともできます。
現地調査の正確さは見積の正確さに繋がり、施工途中での想定外の状況を減少させると共に、追加費用の発生を抑えることにも繋がります。
なお、チラシやネットなどで、一式〇〇万円と表示しているリフォーム価格には、現地調査結果が反映されていないため、調査結果によっては、追加費用が発生することがあることに注意しましょう。
リフォームで登記が必要になるのは増築・減築した場合
リフォームで登記手続きが必要になるのは、構造種類の変更や増築・減築などがある場合で、リフレッシュ工事や間仕切り変更、さらには住設備の入替えなどの場合には必要ありません。
なお、名義変更やローン借入時の抵当権設定に際しても登記手続きが必要になりますが、リフォームとは直接関係がないため、ここでは省略します。
さらに、登記と固定資産税も直接的には関係がなく、増築・減築による固定資産税の課税評価は市町村の評価員が巡回して行い、毎年の1月1日現在の状態で評価されますので、増築・減築の登記タイミングとは異なります。
いずれにしても、法律ではリフォームで増築・減築した場合、1ヶ月以内に登記簿の表題部変更申請を行わなければならず、違反した場合には10万円以下の過料となっており、公的な補助金などを受ける際にも必要となりますので忘れないようにしましょう。
リフォームトラブルで弁護士を利用する場合
リフォームで弁護士のお世話になるのは何らかのトラブルがあった時で、出来れば避けたいものですが、現実にトラブルが起きてしまった時はどのようにすれば良いのでしょうか。
弁護士を必要とすることが少ない一般的な生活の中では、いざ依頼するとなると何から始めていいのかが判らないと思いますが、住宅に関するトラブルの相談先としては、紛争処理支援センターなどがあります。
このセンターは、一般的には「住まいるダイヤル」で知られており、弁護士だけでなく建築士にも無料で相談することができますが、相談時間は1時間で、紛争処理を依頼する時には事前に1万円の申請手数料が必要になります。
紛争処理の依頼に際して、基本的には上記以外の費用は掛かりませんが、特段の事情がある場合には現地調査や鑑定が必要となることがあり、その場合は別途費用が必要になります。
出来れば避けたいトラブルですが、解決策が見つからなかったり長引くようであれば、まずは無料の範囲で専門家の意見を聞いてみるのがいいと思います。
リフォーム瑕疵保険の概要と利用方法
リフォームでよく知られている保険には、リフォーム瑕疵保険があり、工事中・完成後に第三者による検査が行われ、後日見つかった瑕疵も無償で補修できる制度となっています。
このリフォーム瑕疵保険は、国土交通大臣が指定した住宅瑕疵担保責任保険法人が引き受けており、現在は5法人が全国で業務を行っています。
なお、ユーザーがリフォームでこの瑕疵保険を利用するためには、住宅瑕疵担保責任保険法人に登録されているリフォーム業者を選ぶ必要があり、選んだ業者に事前に瑕疵保険への加入依頼を伝えておく必要があります。
そして加入依頼を受けた業者が、保険法人に加入手続と保険料の支払いを行うことで、上に挙げた検査や瑕疵補修のメリットを受けることができます。
一方、新築の場合の瑕疵保険が義務に対してリフォーム瑕疵保険は任意であるため、業者から保険料の負担を求められる場合があります。
注文住宅の総合情報
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