リフォームが必要な住宅は、相応に年数が経っていると思われますが、出来れば単に古いものを新しくするリフォームだけではなく、事前に住宅診断を行い適正なリフォームで住宅の寿命を長くすることを考えましょう。
外壁や屋根の塗装劣化は築10年前後からと言われており、室内でも不適切な暖房や換気による結露で、住宅内部の劣化が進行している場合があります。
また、リフォームで安易な間仕切り変更などを行うと、住宅の基本構造に大きな悪影響を与える場合もあります。
従って、築年数が経っている住宅ほど、リフォームを計画する祭には、事前に住宅診断を専門技術者に依頼し、必要なリフォーム内容などを確認しておくことがお勧めで、そのための調査費用(10万円前後)を予算に組んでおきましょう。
住宅診断は設計事務所あるいは専門会社などに依頼することができますが、長い住宅寿命を健康に健全に維持していくためには、住宅のかかりつけ医を見つけておくことを勧めます。
リフォームで多いのは、屋根や外壁、クロス、住設備、などがありますが、予算100万円ではこれらの工事がどの程度できるのか考察してみます。
外観形状によって異なりますが、標準的な規模の住宅(100m2〜120m2、総二階)では、仮設足場から洗浄・再塗装までの諸々を含んで、何とか外壁塗装が可能な数字で、屋根の再塗装には届かないでしょう。
クロスの貼り替えリフォームでは、既存のクロス撤去・廃棄があり、家具移動や養生などで異なりますが、概ね1m2当たり1,200円〜1,500円ほど(量産タイプのクロス)となります。
8帖大の個室の壁・天井のクロス面積は概ね50m2前後で、6万円〜7.5万円ですから、全室の貼り替えを行っても十分に余裕でしょう。
キッチンでは、標準的なシステムキッチンであれば総入れ替えが可能で、合わせてキッチンだけならクロスの貼り替えも可能になると思います。
その他の水回りには、浴室、洗面・脱衣、トイレがありますが、浴室のユニットバスではハイグレードなものでなければ可能で、廉価版であれば洗面・脱衣、あるいはトイレも合わせて行えると思います。
リフォーム予算が200万円であれば、外部あるいは内部のいずれかの全リフレッシュを計画してみてはどうでしょうか。
標準的な住宅規模(30坪〜40坪)であれば、そして標準的な外観であれば、外壁と屋根の両方のリフレッシュを行うことができます。
これらの外部周りのリフレッシュは、住宅の寿命をのばし、これを10〜15年サイクルで定期的に繰り返すことが、2世代・3世代へと住み続けられる住宅に繋がります。
内部のリフレッシュでは、全ての壁・天井のクロスの貼り替えを行っても100万円前後の予算で納まるため、キッチンあるいは浴室などの住設備の入れ替えを含めたリフォームも可能となります。
いずれにしても、予算が200万円あれば、全てのリフレッシュ・リフォームができる訳ではありませんが、その範囲や内容は色々に選択することができるため、事前に十分に計画しておくことが大事です。
平成23年の国交省統計では、マンションの大規模修繕費の積立金は2万円前後/月となっています。
これを、一戸建て住宅に当てはめると、リフォームスパンと言われている10年〜15年の中間年の12.5年で300万円となり、これは標準的なリフォームなら可能な金額だと言えるでしょう。
つまり、戸建住宅の所有者でも、快適性や耐久性を維持し、住宅の長寿命化を図るためには、リフォームスパンと言われている10年〜15年で300万円ほどの積み立てが必要だと言うことです。
そして、リフォームは一度切りで終わりではなく、上に挙げたリフォームスパンで定期的に行うことが、安全で快適な生活を維持するためには必要だと言うことです。
なお余談ですが、上記の積み立て金に固定資産税などを含めると、月々の費用は家の規模や地域によっては賃貸料に近づくこととなり、これが賃貸と所有のどちらが得か、などの議論を生む原因にもなっています。
標準的な住宅規模で標準的に行われるリフォームの工事内容には、屋根・外壁の塗装替え、あるいはクロスの貼り替えなどがあります。
これらは、ユニットバスなどの住設備を除けば、100万円〜200万円、増えた時でも300万円ほどで納まるのではないでしょうか。
上記を前提にするなら、リフォーム予算に400万円があれば、もう一歩進んで、その後の数十年の利用に耐えるように、住宅の基本性能を確保するリフォームをお勧めします。
ここで言う基本性能には、生命と財産を守る耐震性能、そして快適な断熱空間の確保で冷暖房機のランニングコストを下げる省エネ改修があり、子や孫へ繋げられる基本性能の高い住宅とすることも可能です。
しかし、上記のリフォーム内容全てを400万円の予算で行うのは難しいのも事実ですから、優先順位を十分に検討しておくことが大事です。
500万円の予算で行うリフォームは決して小規模とは言えず、かなりの範囲を含めることができますが、住宅を骨組みだけにして大幅なリノベーション、と言うのは難しいかも知れません。
一般的にリフォームの内容は築年数によって異なりますが、耐震性能や省エネ性能などの住宅基本性能の確保が最優先で、余った予算で希望するリフォーム内容とするべきでしょう。
なお、これくらいの規模のリフォームになると建築基準法上の大規模な修繕あるいは模様替えに該当することもあり、その場合は建築確認申請が必要になります。
ですから、先の予算内で出来るリフォーム内容の検討や設計、そして建築確認申請や工事監理なども含めて設計事務所の上手な使い方がリフォームを成功させる方法だと思います。
リフォームは、一度切りではなく、後の十数年後にも少なくともメンテナンス・リフォームが必要となるため、住宅のかかりつけ医的な設計事務所を見つけておくことを勧めます。
注文住宅の総合情報
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