リフォームの見積りを数社に依頼して提示される各社の見積りや平米単価には、単純には比較できないケースが往々にしてあります。
勿論、最終合計金額だけの比較は簡単ですが、単純に安い方がいいと選んでしまうと、思わぬトラブルになることもあります。
例えば、同じ外壁塗装でも見積りに示された積算数量が大きく異る、塗料の仕様が異なる、積算項目が各社によって異なる、など様々でよほど注意して確認する必要があります。
外壁塗装を例にして本来の積算項目を挙げると、まず仮設足場面積、高圧洗浄面積、下地処理面積、下塗りや中塗り・上塗りの塗装仕様と面積、そして破風などのその他の塗装面積、などがあります。
これらの各面積に、それぞれの平米単価を入れて見積書が作られますが、各社が上記のような項目別に見積書をつくるとは限らず、上記の高圧洗浄と下地処理を含んだ平米単価を高圧洗浄の表記でしている場合もあります。
また、塗装も下塗りから中塗り・上塗りを単に塗装とだけで表示されている平米単価ではその仕様が不明で、金額が妥当なのかどうかの比較もできません。
さらに、もっと分からなくしてしまうのが値引き額で、その額が大きいと結局のところ平米単価の信憑性がなくなってしまいます。
従って、提示された見積書の中味をしっかり確認し、出来るだけ比較検討できるようなヒアリングとメモが重要なポイントとなります。
現在、築数十年でリフォームする住宅の延床面積には30坪のものが、かなりの比率を占めます。
これは、1980年代〜1990年代の国の誘導居住面積水準によるもので、当時の住宅金融公庫(現在の住宅金融支援機構)の融資基準も大きく影響していました。
つまり、標準家庭を4人とした時の延床面積の水準が100m2(30.3坪)だった訳で、現在の誘導居住面積水準では、125m2ほどになります。
従って、数十年前の標準的な住宅を現在の生活スタイルに合わせようとしても、30坪では狭いと感じ、増築を計画するのも無理のないことですが、増築するには建築基準法の問題を解決しなければなりません。
特に、増築を計画している住宅が元々は戸建分譲である場合、ほとんどが建蔽率(最大水平投影面積/敷地面積)の限度で建てられている場合が多く、住宅を上から見た時の水平投影面積を拡大させるような増築はまず無理です。
可能性としてあるのは、1階の下屋部分を2階建てに、あるいは屋根付きテラスやバルコニーを居室に取り込む、などです。
いずれにしても、法的な問題や構造耐力上の問題もありますので、設計事務所などに相談することが必要です。
延40坪の外壁の塗装リフォームに、どのくらいの費用が必要か、概略ですが検証してみましょう。
総2階で考えた場合、1階・2階共に床面積は20坪で5間(9.1m)×4間(7.28m)と想定すると、全外周長は32.76mで、さらに外壁高さを1階・2階共に3mとすると外壁面積(窓含む)は98.28m2となります。
上記で窓部分は別途養生費が発生しますので、みなし外壁で算出してみます。
なお、上記は建物の間口・奥行きが細長くなるにつれて、あるいは凹凸が増えるにつれて外周長もふえますから、40坪の外壁面積の標準的としては120m2前後と見ておく方がいいでしょう。
また、外壁塗装に必要な仮設足場面積は4割〜5割ほど増えますから、余裕をみて180m2とします。
現在の外壁塗装の主流はシリコン系で、既存塗装面の洗浄や調整などを含め、3,500円/m2ほどとし、仮設足場を1,000/m2とすると、計60万円ほどになります。
さらに、外壁塗装リフォームには必須の目地シーリング工事があり、20万円前後が必要になりますので、合計80万円ほどの試算となります。
以上は概算で、それぞれの住宅で条件が異なりますが、上記の試算を参考にすればリフォームでの外壁塗装費用が試算できます。
国の誘導居住面積水準では、郊外や都市以外での水準面積の算出方法は、25×世帯家族数+25となっており、世帯人数が4人を超える時には5%減されるとなっています。
これから、両親と夫婦+子供2人の世帯で計算すると、約166m2となり、約50坪になります。
つまり、延べ50坪の住宅であれば、リフォームで2世帯住宅とすることが可能で、住宅の長寿命化が進んでいる中では、今後も増えていくリフォームだと思われます。
ただし、2世帯住宅となると最低でも60年ほどの住宅寿命が必要で、その間の維持メンテナンスも4回〜5回ほど必要になるため、長期的なメンテナンスやリフォームの計画あるいはイメージを持っておくことが重要です。
なお、長期優良住宅では3世代へと繋ぐ住宅を目指しており、定期的な住宅検査やメンテナンスが必須となっています。
60坪といえば、住宅の中でも大きい方に入ると思いますが、これをリフォームするとなると坪数が大きい分だけ費用も高額になり、10数年ごとに相応の費用が発生することなどの問題も考慮しておかなければなりません。
家族数が多いなどで60坪が必要な面積であれば、通常のメンテナンスとしてのリフォームで良いと思いますが、少し大きすぎると言うのであれば、減築リフォームも選択肢に入れてみては如何でしょうか。
減築リフォームを比較的容易に出来るのは1階の下屋部分などになりますが、可能な場合には空いた敷地を家庭菜園あるいは庭として、ゆとりのある生活スタイルを計画することもできます。
また、減築できない場合もワンルーム化や屋内土間への変更などの減室も、生活スタイルに変化やバリエーションを与えるきっかけになります。
いずれにしても、子供の自立などで家族数が減った後の住生活をリフォームで見直す時には、減築や減室も選択肢として検討してみることをお勧めします。
延床70坪の住宅と言うと比較的大きく、敷地も相応の広さがあるはずです。
当初、多かった家族数も、子供達の自立や別居などで減少しだすと、夫婦2人では広さを持て余し気味になり、余った空間をリフォームで有効活用する方法も考えなければなりません。
例えば、余った空間を賃貸で貸す、あるいはAirbnb(エアービーアンドビー)にするなどで、収入を得ることも可能ですが、賃貸で貸す場合は共同住宅用に、Airbnbの場合には宿泊施設用としてのリーフォームが必要になります。
なお、収益が発生すれば、事業所得に対する税金が発生しますが、リフォーム費用は所得税減税、そして必要経費や減価償却費として処理することができるため、有効な活用方法でしょう。。
ただし、一般住宅を共同住宅や宿泊施設とするには、相応に改造が必要なため、収益性や建築確認申請などを事前に、それぞれ銀行と設計事務所で相談しておくことが大事です。
延べ80坪の住宅で総二階と言うのはあまり見かけませんから、1階の建坪を60坪とすると、建築基準法の建蔽率制限から算出しても敷地面積は100坪〜120坪にはなり、標準的な住宅の2〜3軒分にもなります。
そのように大きな規模でも、維持・メンテナンスの内容としては標準的な規模の住宅と変わりなく、面積相当の費用になるだけです。
しかし、そのような場合には、原状回復だけのリフォームは考えられず、改造・改築などが含まれることが多いと思われるため、新築同様の設計計画が必要となります。
なお、家族数やその他の状況で80坪が必要な場合を除いて、一般的にはこのような規模のリフォームは少なく、恐らくリフォーム費用で標準家庭規模の新築を建てられるでしょう。
従って、80坪規模での住宅では、全体リフォームや減築、あるいは分割分譲や共同住宅などで収益を考える場合も含めて、設計事務所や銀行などの専門職に相談することを勧めます。
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